「経験と勘」だけに頼らない。ドローン×AI解析で挑む、次世代グリーンキーパーの働き方

皆様、こんにちは。 ゴルフコース管理班です。

「グリーンキーパー」という仕事に、皆様はどのようなイメージをお持ちでしょうか? 朝早くから広大なコースを歩き回り、長年の経験と研ぎ澄まされた勘で芝生の顔色を読む――。まさに「職人技」の世界だと思われるかもしれません。

もちろん、そうした職人の感性は今でも私たちの誇りであり、不可欠なものです。しかし、私たちは今、その伝統的なスタイルに最新のセンシング技術とAI解析を掛け合わせることで、管理の精度を劇的に向上させています。

本日は、私たちが運用する「DRONE GREEN KEEPER」プロジェクトについて、少し技術的な側面にも触れながら、その仕組みと効果をご紹介します。

「可視光」と「近赤外線」で見る世界

私たちが導入しているドローンには、一般的な空撮用カメラとは異なる**「マルチスペクトルカメラ」**が搭載されています。

人間の目は「可視光(青・緑・赤)」しか捉えることができませんが、このカメラは「近赤外線(NIR)」という、目に見えない波長の光を捉えることができます。

実は、「健康な芝生ほど、近赤外線を強く反射する」という性質があります。逆に、水不足や病気でストレスを受けている芝生は、近赤外線の反射が弱まります。 この性質を利用し、肉眼では「まだ緑色に見える」段階であっても、不可視領域の反射率の変化から芝生の不調を見抜くことができるのです。

芝生の健康診断「NDVI」解析

ドローンで収集したデータを解析する際に用いるのが、**NDVI(正規化植生指標)**という指標です。

これは植物の活性度を数値化したもので、コース全体をヒートマップのように色分けして表示します。

NDVI値が高い(青~緑):光合成が活発で、芝生が非常に健康な状態。
NDVI値が低い(黄~赤):水分不足、肥料不足、あるいは病害の初期段階などのストレス状態。

これにより、広大なフェアウェイの中に潜む「ピンポイントの不調」を、数センチ単位の精度で特定することが可能になりました。

「全面散布」から「可変散布」へ

これまでの管理では、エリア全体に均一に水や肥料を撒くことが一般的でした。しかし、NDVIマップを活用することで、「必要な場所に、必要な分だけ」処置を行うアプローチへと変化しています。

データ上で「赤く」警告が出ているエリアに絞って散水を行ったり、活性が落ちている部分にだけ肥料を重点的に与えたりすることが可能です。 これにより、以下の成果が生まれています。

  1. 環境負荷の低減:農薬や化学肥料の使用量を最適化し、無駄を削減。
  2. 芝質の均一化:弱い部分を底上げし、コース全体のクオリティを均一に保つ。

テクノロジー × 職人の技=次世代の管理

AIやドローンが導き出すのは、あくまで「現状のデータ」です。 「なぜそこの数値が低いのか?」の原因――それが土壌の固結なのか、害虫なのか、あるいは配水不良なのか――を最終的に診断し、適切な処置を施すのは、私たちゴルフコース管理班の「人の目」と「技術」です。

AIによる客観的なデータ」を武器に、「熟練のキーパーの判断」をより確実なものにする。 これこそが、カヌチャが目指す次世代のコース管理(スマートアグリ)です。

科学的なアプローチで磨き上げられた最高のターフを、ぜひ皆様のプレーで体感してください。

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